このテーマは重要である。というか重要すぎてとても1回では終わらないが今日はそのさわりの話をしたいと思う。
介護において人材採用は重要である。言うまでもない。
しかし、この重要性を本当の意味で分かっているオーナーがどれくらいいるかというと、どうであろうか?かくいう私も重要性を本当の意味で分かっていない一人であった。
今はこう思う。スタッフのその日のモチベーションは例えば寿司屋のネタの鮮度以上に重要だと。寿司屋にとってネタの鮮度は生命線である。例えばネタが痛んでいたら問題である。クレームではすまない場合もある。
しかし、そのレベルでスタッフのその日のモチベーションに気を払うオーナがいるかというと皆無であろう。
前回、介護において、コンテンツより重要なものは人である。という話を書いた。まさに人が問題なのである。スタッフのモチベーションである。介護は飲食店と違いサービスは人そのものであるから、スタッフのその日のモチベーションがその日のサービス内容を決めると言っても過言ではない。
では、モチベーションはどうすればいいのかである。それは何もその日出勤時にモチベーションを上げるDVDを見せてシフトインするとかそういう類の話ではない。そういう小手先の話ではない。
スタッフが常にモチベーション高くいられる職場をどうしたら作れるか。それが重要なテーマである。
採用というと、皆優秀な人を採用したいと願う。しかし、これは2つの意味で間違っている。いや間違いではないのだが順番が間違っている。
まず採用すべきは優秀な人ではなく、性格が良い人である。
そして、性格が良い人を雇う前にもう一つやるべきことがある。今働いている組織風土を破壊している問題行動がある人を排除することである。
順番にいこう。まずなぜ優秀な人でなく、性格が良い人なのか。それは性格が良い人がいないと優秀な人が入ってきてくれないからである。あるいは万が一入ってきてもすぐに辞めてしまうからである。優秀な人は優秀であるが上に働きやすい職場環境を選べるのである。だから優秀な人に選ばれる職場環境を作らなければいけない。
だから、あなたの事業所に性格が良い人を採用し、性格が良い人だけで構成される組織にしなければならないのである。
なぜなら、今いる事業所に性格が良い人をいくら入社させても古株の性格が悪い先輩スタッフがいたら、その先輩スタッフがその新人をつぶしてしまうからである。
なぜか。それは性格が悪いスタッフは自分が評判が悪いことが分かっている。だから転職して職場を選べるような立場でないことを分かっている。そこに性格が良い人が入ってきたら、自分がお客さんを大事にしていないことや同僚をいじめたりしていることがばれてしまう。比較されて自分の素行の悪さがばれてしまう。そのためには一つしかない。良い新人をつぶして辞めさせてしまうのである。
よく「人が定着しない」とか「いい人が入ってこない」とか言っている社長に会う。しかし、それは当然なのである。
だから、非常に思えるかもしれないが今いる不良スタッフは辞めてもらう必要があるのである。辞めさせられなければ配置転換するとかしてとにかくその事業所から切り離さなければならない。良い人を採用するのはその後の話である。(まあ実際には同時にならざるを得ないとは思うが)
しかし、社長はその人を切れない。理由はだいたいこのような理由である。
その不良スタッフがそれなりに優秀な場合、「私が辞めたらみんな辞めますよ」と社長をおどすのである。あるいは優秀でなくてもただでさえ人が足りないのにそのスタッフが辞めることによる穴を埋められないという理由もある。
さて、ではどうするか。私も同じような場面に何度も出くわしてきた。私の結論は1つしかない。「私が辞めたらみんな辞めますよ」と言われたら「そうなったらこの店閉めて1から出直すわ。どうぞ辞めてください。」と言うのである。
つまり、腹をくくるということである。逆に言えば、それを言えないということは脅してきているスタッフよりも腹をくくれていないということだ。そのスタッフはそれなりに腹をくくって脅しをかけてきているからである。そして、そのスタッフに腹をくくれない自分を見透かされているのである。
ただ、私の経験上それで店が閉まったことは一度もない。なぜならそのスタッフが辞めても誰も辞めないからである。あるいはそのスタッフが態度を改めるので辞めさせないでくれと泣きついてくるかのどちらかである。
考えて欲しい。そのスタッフは性格が悪いのである。人望がないのである。そんな人について辞める同僚などいるはずがないのである。むしろ、その人が辞めれば他のスタッフにとっては平穏な職場に改善されて大歓迎なのである。
また、そのスタッフが優秀だった場合、仕事がまわらなくなって大変だという社長もいるが、大変なら自分がやればいいのである。社長というその会社のトップの才能を持つほどの人なら何でもこなせるはずである。それをしないのは結局のところ、そこまで良い事業所を作ろうとは思っていないからである。
しかし、私の経験上、優秀だったと思っていたスタッフが辞めた結果仕事がまわらず困ったり、自分が忙しくなったという経験がほとんどない。優秀だったというのは思い過ごしだったのである。
考えて欲しい。そのスタッフは性格が悪いのである。他に転職して仕事を選べるような立場ではない。だとしたら、今の居心地の良い職場にすがりたい。
そのためには自分が優秀だと社長に思わせておく必要がある。そこで都合の良い報告だけをあげたり、他のスタッフを脅して悪い報告を隠蔽する。あるいは、仕事を囲い込んで自分にしかできない業務領域を作って自分がいなければ仕事がまわらないような体制を作ったりする。そして、社長に「この人がいなければ事業所が回らない」と思わせるのである。性格が悪いのだからそんなのお手のものである。
以上は、私の経験だがもちろん、常にうまくいく場合ばかりではない。実際に不良スタッフを配置転換させて、トラブルになったり自分に一時的に仕事がふりかかってきて忙しくなったりすることだってある。
しかし、最後は自分である。本気で良い会社を作りたいと思うかどうかである。それを自問自答してほしい。そして、本気で良い会社を作りたいと思ったなら、腹をくくって断行するのだ。
心配はいらない。本気であればあるほど、さして問題ないなど起こらない。不良社員は臆病なのである。臆病だからこそ、人をいじめて自分を守るのである。社長が本気であれば、脅しに屈しない断固たる姿勢を示せば、臆病者はその気合に恐れをなす。そういうものなのである。
最後になるが、採用とはまず採用する前の職場環境の環境整備にほかならない。それなくして良い採用などできないのである。
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