介護報酬が下がって経営が苦しい(2)

 前回は「プレイヤーが減り、客数が増える市場」は非常に魅力的な市場だという話をさせていただいた。

 そうだとすれば、魅力的な市場に私たち経営者がどのように自分を合わせていくかを考える必要がある。

 さて、この回では介護報酬の中身を見ていきたいと思う。まず一口に介護報酬が下がり続けていると言ったが、これは平均値だ。

 では内訳をみていくと、実はある傾向があることに気が付く。それは介護度によって報酬額が大幅に減額されているものと、そうでないものがあるということである。

 例えば、直近の2018年度の改正を例に引くと、要支援や低い介護度の報酬単価は下がっているものの、介護度が高いものはそうではない。

 そして、財務省は厚労省に対して介護度1と2は総合事業に移行しろとしつこく要求している。これはもう何年も何年も言い続けているのである。

 総合事業に移行しろとは早い話が国の予算は出さないので、市町村の予算でやってくれということである。

 これらの傾向を併せて読むと、これまでデイサービスが対象にしてきた要支援や介護度2の利用者への介護報酬は減らして、その分を介護度3以上の利用者に予算を使うという方針であることが分かる。

 実はこれは当然の帰結で、予算が足りなければ予算はどこかを削り、必要なところに重点配分するしかありません。この重点主義は介護保険に限らず、医療保険でもそうだし、事業全般のセオリーだ。

 逆に言えば、この傾向や方針を読み間違えなければ、私たちのデイサービス事業業界を魅力的な市場にすることができるということになる。

 ここから2つの戦略が考えられる。

 一つは介護度3以上の利用者をターゲットにすること。

 もう一つはこれまで通り、介護度2以下の利用者をターゲットにするものの、サービスを絞り生産性を上げて、値段を上げずに、回転率重視の事業にするのか

 実際に私の経営するデイサービス事業でもこの2つの戦略を店舗によって使い分けている。

 これが正解だというものはないのである。自社の強みやマーケットの特性によっても変わってくるとしか言いようがないのである。

 ただ、一つ言えるのは戦略を持ちましょうとういこと。戦略を持つというのは一言で言えば、違いを作るということである。

 それは、競合他社と比較して何が違うのかという問いに一言で答えられるかということに尽きる。

 介護保険が開設された当時、デイサービスは一言で言えば、老人クラブ、お楽しみ老人クラブの延長でした。デイサービスも送迎してご飯を出していれば国から報酬をもらうことができていた。

 しかし、今は国の予算がない以上、今は福祉の目的である「社会課題の需要を満たすサービスを提供できているか」が問われるのだ。

 逆に言えば、その問いに来足ることが出来さえすれば、介護保険が下がっても利益を出し、スタッフの年収を毎年上げて、労働環境を改善することが可能なのである。

 

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