稼働率が上がらない。ケアマネが利用者を紹介してくれない。

 デイサービスで最も重要な指標と言えば上記の「稼働率」になるでしょう。

 そして、この稼働率を上げるための方法はたくさんの書籍やブログやコンサルタントのアドバイスがあふれている。

 そして、そこに書かれている内容はと言えば、枝葉の違いはあれどケアマネに営業しましょう。ということが多い。

 しかし、私のアドバイスは逆である。

「今いるお客様の満足度を上げましょう。それまでは新規営業してはいけません。」である。

これはアドバイスだけでなく、実際に自社の店舗でもそのように指導している。

 稼働率が低い。だから新規営業して稼働率を上げる。理論的には何も間違っていないように思える。だから、社長はみんな管理者に営業しろと指示してしまう。私も昔はそうだった。だから気持ちは分かります。

 しかし、これでは稼働率は上がらないのだ。なぜか。それは誰も得しないから。

 商売の本質は利害関係者に得をさせることです(これについては長くなるのでまた別の機会に開設します)。誰も得しなければその商売はうまくいかないことが決定されたようなものだからだ。

 では、なぜ誰も得しないと言い切れるのか。

 それは稼働率が上がらない原因を考えてみると分かります。(まず大前提として現在のオープンしているお店がニーズのあるサービス内容で立地にもおかしな点がないということを大前提としてます。例えば、若者しかすまない離島であればそもそもの立地選定がおかしい)その場合、一人でも利用者がつけば稼働率は少しずつ上がってくはずである。

 なぜなら、一人でも利用者がいるということは取引があるケアマネが1人以上いるということを意味するからだ。

 そしてこのケアマネがその一人の利用者に対するデイサービスに満足してくれていれば、次の利用者を紹介してくれるはずだからだ。

 逆に言えば、取引があるケアマネがそれ以上利用者を紹介してくれないということは、あなたのデイサービスにケアマネは満足していないということになるわけです。

 そういう状況にも関わらず、経営者が管理者に新規営業を命じたとします。その場合、管理者はどのように思うだろうか?管理者は毎日現場にいますから、ケアマネが自社のサービスをどのように評価しているかについては分かっている。満足していない、場合によっては不満を抱いていることを知っているのだ。

 例えば、あなたのデイサービスにケアマネから紹介を受け通所している利用者がいるとする。管理者はこの利用者の通所状況についてほとんど報告もしていないとする。そこにあなたから指示を受けた管理者がそのケアマネに新規の営業をかけたとする。

 どうなるだろうか?ケアマネは必ずこういうだろう。

 「新規の営業をする前にやることあるでしょ?この前紹介して通所している利用者さんの状況を教えてよ!」

 こうして、ケアマネの信頼は失われる。結果、当然のように紹介がもらえず、稼働率が上がらない。稼働率が上がらないからあなたは管理者にもっと営業を強化するように指示を出す。ますますケアマネから嫌われる。そのうちあなたの指示は管理者に通らなくなる。わざわざ人に嫌われるような営業をしたい人間はいないから営業自体をしなくなる。指示に従わない管理者はあなたから叱責される。このようなことが繰り返される。管理者はモチベーションが下がりスタッフにあたり散らす。店舗風土は悪くなる。スタッフの離職率が上がり、シフトの穴を埋められない結果、管理者の残業は増えていく。管理者は転職活動を始めるだろう。

 新規営業の罠である。

 ケアマネ、管理者、スタッフ、利用者、そして経営者。誰も得しない。

ではどうするか?である(次回に続く)

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